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132 兄の兄への愛

Author: 栗栖蛍
last update Last Updated: 2025-09-29 09:01:34

 コンコン、という最初のノック音は芙美の耳に入らなかった。

 彼の気配にすら気付けない程の集中を破ったのは、『トントン』と増していった音が『ドンドン』と扉を軋ませた瞬間だ。

「芙美、時間だぞ!」

 返事のない妹に痺れを切らした蓮が、「遅刻しても知らないからな」と部屋に入り込んできた。

「きゃあああ」

 ビックリして声を上げるのと同時に、指先に灯していた白い光がポンと弾ける。

 前にもこんなことがあったけれど、今日は『返事しなかったら入ってきて』とお願いしてあった。

「ホントに気付かなかったのか?」

「うん、ありがとうお兄ちゃん」

 部活の前にと思って始めた、魔法の鍛錬だ。

 光を灯したまま集中するという単純なものだけれど、すぐに飽きてしまった初期の頃に比べて精度はグンと上がっている。目覚ましを掛けたくらいでは気付けない自信があって、暇そうな蓮にその役を頼んだ。

 軽く一時間半続ける事が出来て、芙美は満足して立ち上がる。

「お前が何やってるか俺にはサッパリ分かんないけど、きっと凄いことしてるんだろうな」

「まぁ、一応ね」

 コートを羽織って荷物を肩に掛けると、蓮が「待って」と芙美を呼び止めた。

「今日部活以外に何かあるの? 咲と夕方から会うんだけど、なんだかいつもよりテンション高くてさ」

「お兄ちゃんに会えるからじゃないの?」

「それだけなのかな?」

 否定しないのかと思いながら、芙美は「どうだろう」と首を捻る。

 今日は部活の後、絢に呼ばれて田中商店へ行く予定になっているが、それは芙美と智だけという魔法使い限定の呼び出しだ。湊や咲は一華の工房へ行くという。

「けど夕方には会えるんでしょ? お兄ちゃん達って、どんなデートしてるの?」

「俺たち? 映画行ったり、ご飯食べたり。今日は駅前でイルミネーション始まったからそこに行くんだけど」

「意外と普通のデートなんだね。っていうか、私もイルミネーション行きたい!」

「だったら眼鏡くんに言えばいいだろ?」

 この間地元のニュースで準備の様子が取り上げられていた。放課後部活が終わってからでは行けそうにないと諦めていたが、今日なら絢の所に行った後、湊と合流できるかもしれない。

「それにしてもお兄ちゃん達って本当に仲良いよね」

 「まぁな」と得意げになる蓮に、芙美は先日の話をぶつけてみた。

「ねぇお兄ちゃん。咲ちゃんが際どい猫のコ
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     来ると感じたハロンの気配は、広場に着いた頃には大分薄れてしまった。鼻をつく異臭はあるが、身体への影響は少ない。 芙美は雪で白くなった地面に足跡を付けて、広場の奥へと踏み込んだ。冬枯れの広場は物寂しく、細い風が音を立てて木々の間を通り過ぎていく。 前回のハロン戦で一度塞がった次元の穴はあれからまた徐々に広がって、宙に剥き出しの状態になっていた。そこに居るのだと言う気配はあるのに、勿体ぶるようになかなか姿を見せない。「10時か……」 今戦いが始まったとして、日が落ちるまで6時間はある。それまでに決着をつけられればいいと思うが、どうだろうか。 呆気なく命を落とすことにだけはならないようにと祈りながら、芙美は持ってきた水を少しだけ飲んで、固いパンを半分かじった。 最初にハロンの現れる広場に配置されたことが、たまらなく嬉しかった。戦闘の確約だ。自分のターンで終わらせることが出来ればと思う。 ハロンとの戦いは、どれだけ先に相手の体力を削れるかで決まる。 前世の戦いではリーナ一人で八割方ダメージを与えられていた。リーナは全身に傷を負っていたが、その時点でハロンの片羽は落としていた。 勝利の予感を覆した敗因は雨だ。あの雨に残っていた体力も気力も削がれて、意識が飛んだのだ。「配分はどうすればいい? 最初から飛ばすとすぐに息切れしそうだけど、飛ばさないとダメージ与えられないかも」 とにかくハロンは固かった。前世での戦いを振り返り、「冷静になれ」と側の木にもたれる。 焦らず、少しでも体力を温存したい。「今日ここで戦うためにあの崖を飛んだんでしょ?」 こんなにモヤモヤしてしまうのは、ハロンが出てこないせいだ。このままあと数時間待つのは耐えられそうにない。「早く出てきて!」 仰ぎ見た穴へ向けて吐いた思いが、相手に届いたせいかはわからない。 一呼吸分の沈黙を挟んで、空気が震える。その瞬間は、突然にやって来た。「来た……?」 芙美はハッとして魔法陣を頭上に描く。唱えた文言で光り出す文字列の底から、滑り降りたロッドを掴んだ。柄をくるりと回して、青く光る玉を地面へ向ける。 別の文言を唱えて、今度は足元に大きめの魔法陣を貼りつけた。 騒めく木々の音に重ねて、辺り一帯にキンと鳴り響くのは、空間隔離発動の合図だ。「ルーシャも気付いたんだね」 崖の向こうに、

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  • いもおい~日本に異世界転生した最愛の妹を追い掛けて、お兄ちゃんは妹の親友(女)になる!?   143 哀しいキス

    「智くん……」 涙交じりの一華の声に足を止めて、芙美は下駄箱の陰に身を潜めた。冷え切った空気に自分の肩を抱いて、少しでもと体温を留める。 二人は昇降口から出た所に居るが、一人通れるほどの隙間から声がはっきりと聞こえた。 ダッフルコートを肩に掛けた一華の目元は良く見えなかったが、嗚咽を漏らした彼女を智が両腕で抱き締める。 智は魔法使いだ。慌てて芙美が気配を消した所で、とっくに気付いているだろう。聞き耳を立てるなんて良くないと今更ながらに思ったが、そこから動くことができなかった。 もう夜も大分遅い。 二人がここで会っている経緯は分からないが、恋人同士の密会なんて甘い雰囲気は全くなかった。バーベキューの時の余所余所しさも、きっと同じ理由なのだろう。「俺、この戦いに決着が付いたら、お前とターメイヤに戻るよ」 智が「一華」と名前を呼んで、彼女の頭を胸に抱く。 一華は返事をしなかった。肩を震わせるように首を横に振る。「肉体ごと転移できるなら、俺だって向こうに行けるだろ?」「駄目よ。貴方はこの世界の人なのよ? こっちの家族を捨てて、突然いなくなるつもり? 私たちとは同じじゃないの。その身体が移動に耐えられるとは限らないのよ?」「また離れるくらいなら、こっちに未練はないよ」「駄目!」 一華は「駄目」を繰り返して顔を上げた。月明かりに照らされた彼女の顔は、涙でいっぱいになっている。 このハロン戦が終わったら、大人組はターメイヤに戻るのだと彼女本人から聞いている。そのことを智には内緒にしてくれと言われていたが、実際はバレてしまったのだろう。 現実を知った智が選ぼうとする選択を、一華はハッキリと否定する。 智の胸を握り締めた一華の手に、ぎゅっと力が籠った。「もう、大事な人を失いたくないの」 十年前、ターメイヤから日本への転移で、一華は一緒に来た祖父のダルニーを亡くしている。 芙美は、メラーレが小さい頃からお爺ちゃん子なのを知っている。だから、彼女の想いは痛いほどわかった。「一華が向こうに戻ったら、もう一生会えない。それって失う事と同じじゃないの? 俺はお前を諦めるなんてできないよ」 智は泣き出した一華の唇に、自分の唇を重ねた。激しいキスだ。 こんな哀しいキスは見たくなかった。 芙美はそっと足を引いて、その場を離れた。   ☆ 和室に戻

  • いもおい~日本に異世界転生した最愛の妹を追い掛けて、お兄ちゃんは妹の親友(女)になる!?   142 羊が300匹

     冬のバーベキューは、予想の十倍は寒かった。 鉄板の熱で暖を取ろうと手を伸ばすが、いまいち心許ない。「誰だよ、外でバーベキューしようなんて言い出したの」 咲は蓮のパーカーにコートを羽織って、山盛りの肉を皿に盛りながら訴えた。「私よ」と答えたのは絢だ。「こんなの校舎の中でやる訳にはいかないでしょ? 文句があるなら食べないで頂戴」「食べるぞ。食べないとやってられないからな!」 真っ暗な校庭の隅で、昇降口を照らす外灯を頼りにバーベキューをする。雪はやんでいるが、夜になって一段と冷え込む空気に手がかじかんだ。 ターメイヤからの転生組と大人達転移組が全員で集まるのは、今日が初めてのような気がする。その面々に昔の姿を重ねて、芙美は懐かしいなと思った。 ただ、何となく智と一華が余所余所しく見える。「こんな時、能天気にバーベキューなんてしてていいのか?」「いいのよ。肉を食べなきゃ力が出ないのよ? 予定は明日なんだし、今はちゃんと食べておきなさい」 ハロンの出現を控えて流石の咲も不安がるが、絢はまだ余裕な感じだ。「これが最後の晩餐だとか言うんじゃないだろうな」「そうならない為の食事よ。夜もさっさと布団に入って、一分でも多く寝ること」 刺さるように視線に、芙美は「はぁい」と肩をすくめる。 漂っている気配の感じならまだ時間に余裕はありそうだが、さっき外に出てから気分が良くない。絢や智は平気そうなのに、今日に限って芙美だけがハロンの臭気に当てられている。 空腹に耐えかねて少しずつ鉄板に手を伸ばしてはいるが、込み上げる吐き気に口を押さえると、湊が背中をさすってくれた。「こういう時、俺に魔法が無くて良かったと思うよ。二人で潰れてたら目も当てられないからな」「ありがとう。湊くんも魔法使いだったらなって思うことあるの?」「たまにはね。けど、やっぱり剣で戦うのが好きかな」「ラルって感じだね……あぁ、また来た」 再度の波にぎゅっと目を瞑ると、今度は鉄板の向こうから咲が心配顔を向けてくる。「大丈夫か? ハロンの気配を感じるのか?」「気配はまだ遠い感じ。臭いに敏感になってるだけかな」「体調の差かな? 寝不足なんだから、リーナは早く寝た方が良いよ。ラルちょっとこっち手伝ってもらっていい?」 肉を焼く智に呼ばれて、湊が場所を外れる。空になった芙美の横に、すか

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